外国人と結婚し日本で生活を共にするためには、他のビザを保有しない限り、基本的に配偶者ビザを申請し、許可を受ける必要があります。

 もっとも、配偶者ビザの申請は理由書の作成や必要書類が多岐に渡るため、複雑な性質を有することからもネット上で申請方法を調べている方々が非常に多いのが現状です。また、はじめて申請をする方は調べているうちに様々な疑問を抱かれるのではないでしょうか。

 そこで、本コラムでは、配偶者ビザを申請するうえで必要となる最低限の知識を記載いたしますので、ご活用いただければと思います。

配偶者ビザを申請する上で重要なのが法的要件

 配偶者ビザは入管法に定められている要件充足してはじめて得られます。

そして、その要件は「法律上、有効な婚姻関係にあること」です。

ここで、注意点としては、単なる法律上の婚姻関係ではなく、実質的な、つまり実体の伴っている婚姻関係です。この実体の伴っている婚姻関係の有無が、法務大臣の広範な裁量で審査されます。

それが、結婚するに至った経緯や経済力、新居などです。これらを客観的に揃えて立証していく必要があります。

配偶者ビザの種類と申請方法について

配偶者ビザを取得するための申請には、在留資格認定証明書交付申請と在留資格変更許可申請の2つがあります。

在留資格認定証明書交付申請とは、海外に居住する外国人配偶者を日本に呼び寄せることを目的にした手続をいいます。

一方、在留資格変更許可申請とは、現在配偶者ビザ以外のビザ(就労ビザなど)を保有し、日本で生活している外国人が、日本人又は永住者(特別永住者)と結婚して配偶者ビザを取得するための手続をいいます。

以下、各々、申請を行う方法、申請の流れを説明していきます。

申請手続きについて

①在留資格認定証明書交付申請

(ア)対象者:日本に入国を希望する外国人に限られます。

(イ)申請者:原則配偶者ビザを取得する予定の外国人本人が入管へ出頭する必要があります(本人出頭の原則)。もっとも、海外にいる本人が直接入管へ行くことは物理的に不可能です。

  そこで、在留資格ごとに法務省令で定められた申請代理人の方が本人の代わりに申請をすることが認められております。このため、友人など本人と何ら親族関係のない者は手続きをすることはできません。

  なお、申請取次研修を受け、試験に合格した行政書士であれば、上記の申請を本人や申請代理人に代わって、管轄の入国管理局へ申請手続きをすることが認められております。

(ウ)申請先:申請代理人の住所地を管轄する入国管理局です。例えば、神戸在住なら、大阪入管です。

(エ)審査期間:約1カ月から3カ月程度です。実務的にも、申請をしてから、公表されている審査期間よりも長期化する傾向にあるため、標準審理期間を鵜呑みにせず、きちんと計画的に申請書類を準備しましょう。

②在留資格変更許可申請

(ア)手続きの対象者:申請時に在留資格をもって日本に在留する外国人に限られます。

(イ)申請期間:在留資格の変更の事由が生じたときから在留資格の満了日前までとされています。

 つまり、法律上の婚姻が有効に成立した時からです。

 したがって、他の在留資格→配偶者ビザに変更したい時は、婚姻関係成立時から現在保有する在留資格の期間満了日までに配偶者ビザの変更申請をする形となります。

 以上のことから、婚姻手続を完了→ビザ申請という流れとなります。

(ウ)申請者:上述した認定証明書交付申請同様、原則本人出頭、例外的に申請代理人の申請可能となります。

  そして、申請取次行政書士もここで本人、申請代理人に代わって申請手続きを行うことが認められております。

(エ)審査期間:約2週間~1カ月程度

※上述したように、実務的には審査期間が2カ月を超えてきたりする場合もあるので、要注意です。

配偶者ビザの申請後やらなければならないこと

特に認定証明書、海外から呼び寄せる手続きがやるべきことが多いです。

申請して認定書を受けたとしても、それで終わりではありません。

残念ながら締めの作業が必要です。

一方、後述のように更新許可の場合はビザは確定しております。

在留資格認定証明書交付申請の場合

 上記の手続で幸い「許可」を得られた場合、入管から在留資格認定証明書が交付されます。

もっとも、これはあくまで推薦状のようなものです。この段階では在留資格は取得できておりません。

ここで、正式に在留資格(配偶者ビザ)を取得するためには、一定の手続が必要となります。

これで終わりじゃないの?って思われる方が多いかと思いますが、残念ながら、入国管理局は慎重です。

では、どのような手続きが必要か。

具体的には、まず、交付された在留資格認定証明書を外国人配偶者へ国際郵便によって居住地へ送付します。

次に、それを受け取った外国人配偶者が居住する地域を管轄する日本国大使館などへ査証申請を行います。必ず、証明書交付後3カ月以内に申請を行ってください。

査証申請の際の必要書類は、外国人配偶者が居住する日本国大使館によって異なるので、HPを事前に確認することをオススメします。

最後に、この査証申請で許可が降りれば、3カ月以内に日本に上陸する必要があります。

この上陸時の入国審査を無事に通過できれば、晴れて在留カードが外国人配偶者に交付されます。

在留資格変更許可申請の場合

 許可が降りた場合、結果の通知のハガキがご自宅に届きます。

許可の場合の必要書類は以下の通りです。

①パスポート

②現在持っている在留カード

③申請受付票(申請時パスポートにホッチキスで留められた書類)

④受領した通知ハガキ

⑤手数料納付書(4,000円の印紙代がかかります。)

 以上の書類を持参して、入国管理局で在留カードを受け取る形となります。

受取時点で、何年在留できるかがわかります。

配偶者ビザの申請方法に関するまとめ

 このように配偶者ビザの申請は許可が降りてからも一定の手続が必要となります。

また、申請する際に要件充足性を立証する場合、必要な書類が揃っており、客観的に説明ができる内容であればお一人で申請することも可能です。

少々、危ない橋を渡りたくない方は一度ご相談いただいた方が許可の可能性についてお話することも可能ですので、是非ご相談ください。

おすすめの記事