その1 学歴との関連性
まず、就労ビザを取得するうえで欠かせない要素として、外国人(申請人)が実際に従事する業務内容と大学や専門学校で学んできた内容が関連している必要があります。
例えば、翻訳・通訳を中心に履修してきた外国人であれば、就職先では翻訳・通訳の仕事(海外の取引先との折衝や技能実習生の管理監督等)です。
このように学習してきた内容と業務との関連性が求められる中で、全く学歴と関連性のない仕事(経済学を学んでたのに、技術系の仕事をするなど)はできません。
以上のように、外国人を雇用する上で、日本人社員よりも考慮要素や縛りが多い点で注意が必要です。
その2 賃金が十分か
就労ビザの許可を得るためには、外国人の給与が「日本人と同等以上の報酬額」である必要があります。
これは法令で定められています。
自社内で比較し、さらには同種の業界の他社の給与水準等に照らし低く定められていた場合は要注意です。
上述した、業務と学歴の関連性とともに極めて重要な要素であります。
関連性を満たしていたとしても、賃金要件が不充足となり、不許可となり得ます。
その3 業務内容について
就労ビザでは単純労働は認められていません。
例えば、アルバイトのようなレジ打ちや工場のライン作業などです。
また、飲食店のホールも原則難しいです。
例外として、外国人の観光客が多く、特定の国籍のお客様が多いなど特段の事情があれば就労ビザが発効されることもありますが、稀です。
さらに、よくあるのはホテルの従業員として清掃要員として雇用したいというケースです。これもできません。この場合、目的が清掃要員なのにもかかわらず、隠匿し、フロントとして雇用するなど、虚偽の申請を入国管理局にしてしまうのは絶対に許されないことです。
この場合、在留資格不正取得罪(入管法70条1項)となり、3年以下の懲役・禁錮又は300万円以下の罰金となります。不法就労助長罪(入管法73条の2第1項1号)と同様に必ず、企業及び外国人は守らなければなりません。
そして、就労ビザの業務内容は上述のように当該外国人の有する高度の能力を駆使することが大前提となっており、ホワイトカラーの仕事が要求されます。
このように、業務内容は就労ビザの核となる要素であり、虚偽申請に最も注意すべき事柄なのです。